「精神科の病院には抵抗があって行きたくない」
うつ病になった母が当時精神科受診に対して思っていた率直な気持ちだそうです。
今は以前とは違いうつ病を始めとする精神疾患への理解も広まってきているので、精神科の病院やメンタルクリニック、心療内科など比較的受診しやすくなっているかと思います。
ですが、それでも入院となるとやはり悩む人もとても多いですよね。
うつ病の場合入院するとどんなメリットがあるのでしょうか。
ここでは実際に入院治療を受けた母の話と家族の立場、そして精神科看護で見てきたことを踏まえての気付きを記載したいと思います。
ここに記載していることは個人の体験と気付きであり、精神科での入院治療の全てを表すものではありませんので、参考までに読んでいただければと思います。
うつ病での入院については、こちらの記事がとても分かりやすくて、確かにそうだなあと思うところが多々ありました↓
http://seseragi-mentalclinic.com/dephosptalization2/
母がうつ病で入院となった時の私の正直な気持ち
私の母は、私が中学生の時にうつ病になりました。
当時母更年期障害もあって、その他人間関係や家族の中の役割などさまざまなストレスも同時に抱えていたのですが、相談できる相手もなく1人で抱え込んでいたのですね・・・
最初の頃は主に身体的な症状の自覚が強かったので、婦人科や内科などあちらこちらの病院やクリニックなどに繰り返し足を運んでいました。
どこに行ってもはっきりとした不調の原因は見つからないのですが、本人はしんどくて納得できないので次々と受診を繰り返していたようです(*_*;
そんなある時、知人にとある精神科の病院の受診を促されますが、母としては精神科への受診は抵抗があった為なかなか受診する気にはなれなかったそうです。
そんな母が精神科に入院することになったのは、ある日母がカミソリで手首を切った為、
措置入院になったのです。
措置入院とは以下のような入院です↓
入院しなければ自傷他害の恐れがある場合の、都道府県知事の権限による入院です。措置入院には、精神保健指定医2名以上の診察により必要と認められることが必要です。ただし、急速を要する場合は、精神保健指定医1名の診察に基づいて、72時間に限って緊急措置入院が行われる場合があります。
措置入院で入院した場合も、病状の改善により医療保護入院や任意入院へ切り替えられる場合があります。
引用元:厚生労働省「知ることからはじめようみんなのメンタルヘルス」
保健医療のページの入院制度について
その日父は仕事が休みだったので、すぐに母の状況を発見することができ、病院に連れて行ってくれました。
今思えば父が休みだったから母は実行したのでしょうね・・・
学校から帰ると、居るはずの両親の姿はなく血の付いたカミソリが落ちている・・・
呆然としているところへ父から自宅に電話が入り、母が入院となったことを知りました。
母が入院となってしばらく家に居ないのはさみしいし、母の行為(自傷)はもちろんとても悲しいものでした。
ですが、母が入院して正直ほっとする気持ちも大きかったです^^;
入院すれば、母の周りには医師や看護師などのスタッフさんが居てくれますよね。
でも自宅では、私は学校があるし父は仕事で忙しいく休みも少ないので、母はどうしても一人ぼっちになる時間が長すぎるのです。
父は朝が早く夜遅いので、私は母を1人残して家を出ることにいつも不安を感じ、帰る時も毎日恐る恐るでした。
何をしていても、母のことが頭にあるので目の前のことに集中できません。
友達と学校で話をしていても、勉強をしていても頭に入ってこないのです。
「私がいない間に母に何かあったら・・・」
「今家でどうしているやろうか・・・」
「これはいつまで続くのか・・・」
私の心は不安で渦巻いていて、目の前が暗く感じていました。
一緒に居ると、「死にたい」「14年一緒にいたからもういいやろ?」と何とも言えない苦しい表情で訴える母の様子を見るのも辛くてたまらない・・・。
母の精神状態は午前中~夕方くらいが特にひどくて、夜になると幾分ましになっていました。
その為、朝早く夜遅い父は母が日中どのような様子なのかあまり知りません。
ですから母が入院したことで、母のことを1人で抱えこむ苦しさから解放されたのです。
これは私にとってとても大きいことだったと思います。
うつ病で入院してどうだった?本人に聞いてみた
先日母に、当時入院してどうだったのかを直接聞いてみました☆
母が感じた入院のメリット
・しなければならないと思うことから強制的に開放された
・同じ病気の人と気持ちを理解し合えた
・規則正しく過ごせた
・安心したのか何なのかこれまで全然食べられなかったのに普通に食事できるようになった
・レクや散歩など意外と新鮮だった
母が感じた入院のデメリット
・娘に会えないのが辛かった
・娘がどうやって過ごしているのか(食事など)心配だった
・症状が落ち着いてきたらすごく暇に感じるようになった
・トイレが少なくて困った
・他の病気の患者さんとのやり取りで困ったことがあった
以上のことを話してくれました。
最初は私に会えないということでものすごく辛かったようなのですが、入院の環境に馴染み始めた頃から随分楽になってきたと話していました。
自分の状況を受け入れて治療に取り組めるようになったのですね。
お薬もすぐには効果を感じることが出来ず副作用で辛かった時期もあるのですが、お薬の調整をしてもらいながら少しずつ効果を感じられるようになりました。
その時、たくさんお世話になったのが病棟の看護師さんの存在です。
中でも特にお世話になった看護師さんがいて、家族の私も今でもその方に感謝しています^^
結論、入院して良かったのかどうか
うつ病での入院治療は必ずしも必要なことではありません。
また、本人の状態や自宅での療養環境がある程度整っているような場合には、入院のメリットはあまり感じられないかもしれません。
ですが、急性期の状態なのに自宅でゆっくり療養できる状況ではないとか、本人が1人で過ごす時間がほとんどであるような場合には、入院治療を相談してみるのも1つかと思います。
また、状態によっては母のように措置入院となることもあります。
ただ、私の母の場合、入院して安心してあまり先のことを家族で話し合えていなかったところがありました。
今思えばお恥ずかしい話ですが、私も父もうつ病について勉強することはほとんどしておらず、病院に任せきりになっていたのですね(-_-;)
ですから母が退院した後のことなどあまり考えられておらず、家族としての在り方や母の自宅での療養環境に目を向けることは出来ていませんでした。
入院して治療することによるメリットはたくさんあって、緊急時の対応として入院が必要なケースはあります。
ですが、入院治療をすれば治るというわけではないので、落ち着いてきたら本人の想いを聴いて、医師や看護師などのスタッフに相談しながら家族としての在り方も考えておくことは大切だと思います。
この記事を読んで下さったあなたに少しでも参考になれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました^^