「部屋の状態は心の中を表す」
これはよく言われることではないでしょうか?
なので、反対に部屋を綺麗に整理すれば心もきれいに整うのかも!
そう考えて断捨離や片付けを始めようかと思う人も多いですよね。
でも、これまでずっと部屋が荒れた状態だった人が、急に片付けをするというのはかなり労力も時間もいることです。
なので、腰がなかなかあがらないという人も少なくないでしょう。
ですが、暮す空間の状態は確かに心に強く影響を及ぼすと思っています。
実際に、環境を整えたことで心に大きな変化が生じた事例も見ましたから・・・
そこでこの記事では、部屋が汚いと心にどんな影響を及ぼすのか、実際の体験をご紹介したいと思います。
部屋は心を表す。なんとも言えない孤独感の正体とは?
物には人の心が宿るなんて聞いたことありませんか?
そんなばかなと思う人もいるでしょうが、私はやはりそれはあると思うのです。
なぜならこの世の中は、全てエネルギーでできているからです。
そして、人の感情もエネルギー。
だとすれば、物にその持ち主の心が宿ると考えても不思議はないと思います。
それを実際にありありと体感した出来事がありました。
これは、私が祖父宅で寝泊まりしていた時に体験した出来事です。
私は月に一度、遠方の祖父母のところへ、身の回りのお世話に行っています。
2人とも今は施設に入っていますが、住んでいた家は残っていて、いつもそこで私は寝泊まりしています。
ところが、祖父母の家に行くと、なぜかいつも気持ちが不安定になるのです。
最初は、1人で遠い場所に来ているからなんとなく不安になるのかなと思っていました。
ですが、家の外にいる時は感じなくて、祖父母宅に戻ると気分が変な感じになるんです。
祖母が認知症で施設に入ってから10年以上の間、その家には祖父が一人で暮らしていました。
だんだんと歳をとるにつれ整理が難しくなり、どの部屋も物で溢れかえった状態。
ホコリが舞い、物に埋もれて暮す日々だったと思います。
なんて言うのか、そこに居るとなんとも言えない孤独感のようなものがこみあげてくるのです。
本当に変な感じです。
どうしてしまったのだろうかと思いました。
自分の家では、まず感じない心の状態です。
(昔は感じていました)
そして、じっくりと室内の物を見回してみたのです。
そこではっと気づきました。
「ああ、これは祖父が抱いていた気持ちなんやわ」
ということに。
祖父は、あまり寂しいとか自分の感情を口にする方ではありませんでした。
すごく頑なで人との関りを嫌い、身内はともかく、他人の支援には拒否的です。
ですので、私は祖父は孤独感なんかなくて、1人が良いのだと以前は思っていました。
しかし本心は違っていました。
祖父は、家に居た時いつも寝る時もずっとテレビを大きな音でかけっぱなしにしていました。
最初は、テレビを観ながら寝落ちしてしまうのかなと思っていました。
ところが、トイレなどに起きた後でもテレビを消すことはありません。
そこで祖父に、どうして夜中テレビを大きな音でつけているのかと聞いてみると、ポツリと「寂しいんかのう」と。
そんな言葉が返ってくるとは思っておらず、とても驚きました。
祖父の部屋でのなんとも言えない感情は、祖父の心そのものだったのですね。
それがわかってからは、少しですが、自分が過ごす空間だけはさっぱりとさせてみました。
ただ整理するのではなく、1つ1つの物を丁寧に扱い、祖父を守ってくれていたことに感謝の気持ちで整理をしてみたのです。
そして、笑われるかもしれませんが、家や部屋、そこにある物などに声をかけたりもしています。
すると、少しずつですが、祖父母宅で過ごすのが辛くなくなってきたように思います。
なんとなく、家が自分を見守ってくれているような気がしました。
部屋が汚いことが心身に及ぼした恐るべき影響とは?
続いては、物で溢れかえった部屋をスッキリとさせたことにより、心の状態が大きく変化した事例です。
他の記事でも書いていますが、私の母は昔うつになりました。
今はうつからは抜けているものの、昔かからの心の癖はあるので、何かと思い悩むことも多いです。
そんな母の心の状態は、過ごす部屋にもはっきり表れていました。
みんなで使う空間はある程度過ごせる状態なのですが、母が過ごす部屋は物でいっぱい。
それはもう本当にすごい状態だったのです。
ですが、そのことに気づいたのは、ほんの2~3年前のこと。
それまでもなんとなくは気付いていました。
ですが、私も自分のことで精一杯で、見なかったことにしてきたのです。
そんなある日、部屋から助けを求める母の声。
ドアを開けると、物が流れ出て、たくさんのゴミや物にうずもれて動けなくなっていた母の姿がありました。
インフルエンザと胆石発作が重なり、高熱で動けなくなっていたのです。
私は愕然としました。
こんなになるまで私は放ってしまっていたのかと。
母が入院し戻ってきた時に、一緒にいるものいらないものを一気に整理しました。
最初はどれもいるものだと、なかなか母は物を手放すことができませんでした。
それでも最初の1/3くらいにはなったと思います。
物に埋もれて寝ていたのが、ちゃんと布団にまっすぐに寝ることができる状態に。
すると、母の表情が随分明るくなったのです。
この頃からです。
母がパンダに興味をもち、毎日写真を楽しむようになったのは。
そして、なんでも要らないものを買ってしまう癖も、かなり減りました。
後で母に聞くと、物に埋もれて過ごしていた時は、正直みじめな気持ちだったと話してくれました。
どうにかしないといけないと思いつつも、もはや何から手を付けて良いかわからなかったと。
一緒に整理をしていた気づいたのは、同じものがたくさんあるということでした。
単純に物がどこにあるかわからないため、同じ買い物が重なるというのもあります。
ですが、消耗品だけではなく、服とかも全く同じものがよく出てきていたのです。
つまり、自分が購入しようとしているものを見る目で見ていなかったのですね。
本当に心から欲しくて購入したというより、購入することで心が一時的に満たされていたのではないでしょうか。
そのことに、母自身もじっくり向き合い気づくことで、心に確かな変化が表れたようです。
その後も一緒に何度か断捨離を繰り返し、今ではかなりすっきりしました。
整理が進むにつれ、母は心が穏やかになっていると言います。
安心して過ごせることが嬉しいそうです。
そして、これまでは動くのを本当に嫌がっていましたが、一緒に付き添えば歩く練習にも出るようになりました。
日々悩むこと不安なことはあるようですが、以前ほど振り回されなくなっているように感じます。
終わりに
「部屋が汚いことと心の状態にそんなに関連はあるのか?」
そんな風に思う人もいるかもしれません。
ですが、場所による心の変化を注意深く感じてみてください。
きっと場所により、かなり違いがあるはずです。
もし今心がモヤモヤする状態であれば、もしかしたら長く過ごすその空間の状態に理由があるのかもしれません。